●『君主論』翻訳本に関して





『君主論』の翻訳はいくつかの出版社から訳者を変えて何種類かが出版されています。

僕が今回用いたのは岩波版の君主論(訳者:河島 英昭)でしたが、結論からいうと、岩波版はオススメできません。
まずアマゾンのレビューにもある通り、邦訳がこなされていません。
原文のイタリア語を忠実に(単に語を置き換えるだけで)訳したのかもしれませんが、本来それほど難しくないはずの君主論がずいぶん難解な書に化けてしまってます。
また、(原文を読めない以上断言はできませんが、おそらく)クリティカルな誤訳が少なくとも2ヶ所(第9章)あり、他にも意味を取り辛い個所が何点かあります。
この誤訳があまりにクリティカルなため、訳者の方は本当に意味が分かって訳しているのかどうか不安なくらいです。
やっぱりオススメはできません。

あえて良いところを挙げれば、様々なバージョンが存在する君主論の写本原文の、どのバージョンを採用し、どのバージョンを不採用にしたかを訳注で事細かに解説しているため、原文と見比べて読んでいきたいという人には訳注だけは参考になるかもしれません。
ただ、意味が取れなくて本当に困ってるところに訳注がついてないことが多いので、研究者でなければ「こんなどうでもいいことダラダラ書くな」という気持ちになるだけかもしれません。

他の訳書を見ますと、中公文庫BIBLIOのもの(訳者:池田 廉)は岩波のそれより遥かに読みやすかったと思います。
こちらはパラパラと見ただけですので、誤訳などは分かりませんが。

あと、読んだのが中央公論社の「世界の名著16 マキアヴェリ」です。
こちらはマキャベリの「政略論」もセットになった分厚い本で、冒頭に時代背景を理解しやすい解説がついており、昔の本であるにも関わらず邦訳も読みやすいです。

結論:岩波はやめとけ


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