●ジャイアント・ロボ





OVA「ジャイアント・ロボ」
名作であることはずっと昔から知っていましたが、いかんせん原作横山光輝
横山光輝絵の銀鈴に萌えようがなかったので、いままで敬遠していましたが、見てみるとやはり素晴らしい作品でした。なので、紹介。


☆周辺事情

基本的に、原作は横山光輝「ジャイアントロボ」。
少年サンデーに連載していたようです。その後、昭和42年に実写特撮モノとしてテレビ化。
この原作「ジャイアント・ロボ」を踏まえてアニメ化したのが、ここで取り上げる「ジャイアント・ロボ The ANIMATION〜地球が静止する日」です。
このアニメ版は原作と比べ、キャラクターなどを他の横山光輝作品から登場させたりと、ずいぶんはっちゃけた内容となってます。
例えば、敵の組織(BF団)のボスはバビル2世だし、参謀は諸葛亮孔明。敵の幹部に面の忍者赤影がいたり、魔法使いサリーがいたりします。横山作品オールスターといったカンジでしょうか。
なお、設定では鉄人28号らしきものも出てきます。

そして、このはっちゃけた物語を作り上げたのが、監督今川泰宏
名作「機動武闘伝Gガンダム」の監督サンでもあります。
そんな今川監督の描く物語ですから、はっちゃけるのも致し方のないこと。とにかく物語がアツイです
Gガン好きの方には、「東方不敗が10人くらい出てくる」といえば伝わるでしょうか。


☆ストーリー

ネタバレになるので多くは語りませんが、正義の国際警察機構と悪の秘密結社BF団との全面戦争、と思ってもらって良いです。
これに、エネルギー問題やら復讐劇やら兄弟の葛藤やら、その他色々絡んできてそれはそれで大変魅力的なのですが、まあそれは置いときましょう(笑)
むしろこの作品の醍醐味はやけに重量感のあるロボット同士の激突!そしてロボットを上回る迫力で展開される、国際警察機構エキスパートとBF団エージェントの強烈かつ変態的な超絶奥義乱舞戦です。
今川監督の素晴らしいところは、「映像がカッコ良ければ些細な論理的問題など不要である」というスタンスでしょうか。
とにかく、エキスパートもエージェントも何の説明も根拠もなく、超人的な技のオンパレード
衝撃波の原理を分かってんのか!?とツッコミたくなる衝撃のアルベルト。
扇で岩だろうが何だろうが弾き返す呉学人。
一本撃ったハズの矢が、数千本は降ってくる花栄。
足からロケット噴射して空を飛んでいく静かなる中条
指パッチンで全てを切り裂く、素晴らしきヒッツカラルド。
「オレの能力は不死身だ!」の一言で、マシンガンで蜂の巣にされようと、脳味噌を打ち抜かれようと、自爆しようと何しようと生き返る村雨健ニなど、くだらない疑問を吹き飛ばしてくれる熱い熱い熱い熱い映像の連続なのですッ!!

つまり、ストーリーに関しては大きな流れで捉えると一本筋は通ってる感じですが、細かな点をツッコムとキリがないのです。
銀鈴が最初コスプレしてるのも意味分かんねえ、オロシャのイワンは敵が気絶してる間にサンプル奪えよ、大怪球の弱点って結局ナニ?とかまあ正直すっきりしない話です。それは認めます。
んが、別にいいんです。だって、エキスパートとエージェントの死闘がカッコ良すぎますから。
Gガンダムにしてもそうですが、今川監督はムチャなストーリー展開を映像のカッコ良さとアイデアのはっちゃけぶりで押し通すことが好きなんじゃないかと思います。そんで、僕もそういうのが大好きです。

ただ、一つだけツッこませて頂きますと、一連の騒動の責任はフォーグラー博士のせいだと思います。
幻夜の「大事なことはハッキリいってよ、パパァ!」も確かにその通り・・・(^^;


☆ここがツボ!「十傑衆」

このアニメを見てまずハマった点が、敵の組織BF団です。
とにかく、このBF団が強い!
劇中通して国際警察機構はBF団に押されっぱなしです。
というのは、BF団には幹部が10人いるんですが、こいつらがどいつも鬼のように強いのです

強い上に、コイツラの総称が「十傑衆」。
うあ〜〜〜、カッコイイ〜〜〜!!!!

この敵の幹部たちに総称が付いてる、ってのがまず僕のツボでして、そのうえさらにさらに、なんと!
各々、名前の上に二つ名がついているのです!!
・・・こ、これはヤラれました。
敵の幹部が強くて、総称があって、しかも各々二つ名がある。
もう、この時点で僕がハマるのに必要な条件が揃っていたりするのです。
では、その十傑衆のお名前紹介。

・衝撃のアルベルト
・眩惑のセルバンテス
・混世魔王 樊瑞
・激動たるカワラザキ
・暮れなずむ幽鬼
・マスク・ザ・レッド
・素晴らしきヒッツカラルド
・命の鐘の十常寺
・白昼の残月
・直系の怒鬼

うぐああ、カッコイイ〜〜〜!!!!

個人的には「激動たる〜」とか「暮れなずむ〜」とか「素晴らしき〜」とか「命の鐘の〜」とかが特にツボでした。
意味はさっぱり分からんですが「直系の〜」なんてのもスマートな響きでカッコ良いです!
ネットで先にコイツラの名前を知ってしまったがために、そのお姿を拝見したく非常にウジウジしてしまったものです。

そんで、実際見た感じだと・・・

・樊瑞、幽鬼、残月、怒鬼はいけめん
・十常寺はちょっと名前負け
・ヒッツカラルド、最高!!


といったところでしょうか。
いやぁ、こいつらキャラ美味しすぎです
国際警察機構エキスパートの方々より、断然面白い人たちです。
(エキスパートは彼らに比べると変態度が落ちますね。九大天王が少なかったせいかな)

*九大天王・・・国際警察機構の幹部9人。劇中では2人しか出てこない。


ここで、ひとつ彼らのネーミングセンスの素晴らしさを確認してもらうべく、ラブリーチャーミーな敵役、「るろうに剣心」から十本刀に登場してもらいましょう♪

・刀狩の張
・飛翔の蝙也
・盲剣の宇水
・百識の方治
・大鎌の鎌足
・明王の安慈
・丸鬼の夷腕坊
・破軍(甲)の才槌
・破軍(乙)の不二
・天剣の宗次郎


う〜ん、勝負になりませんねえ
百識〜とか破軍〜とかはちょっとセンスいい気がしますが、彼らはなにせへっぽこですからねえ
へっぽこといえば飛翔のカレ大鎌のカノジョ(カレ?)。飛翔だの大鎌だのそのままのネーミング作者の手抜きが見て取れるうえガキと女の子に負けるという、失態
まあ、厳密にいうなら、セルバンテスさんは大作に負けてるし、ヒッツカラルドさんも銀鈴に殺られますが・・・
十本刀には、「素晴らしき〜」や「暮れなずむ〜」で感じた、あのドキドキ感、高揚感がないですねー。
と、ジャイアント・ロボの「るろ剣」への勝利を確信したところで、話を元に戻します。


十傑衆でイチバン活躍したのは、衝撃のアルベルトおじさま(38)です。
この人も飛んだり駆けたり吸収したり、とやりたい放題です。
特に能力が「衝撃波を操ること」なのにラストでエネルギーフィールドを吸収していたのは、さっぱり意味が分かりません。が、カッコ良いので何も文句はありませんさすが今川マジック!
なお、娘は魔法使いサリー(劇中ではサニー・ザ・マジシャン)。
ラストで御髪が乱れていらっさる場面はビジアル的にもカッコイイです。

もひとついうと、アルベルトおじさまの声優は秋元洋介さん。まさに東方不敗なのですッ!!

次にお気に入りなのは、やっぱり素晴らしきヒッツカラルド!!
指パッチンで敵を切り裂く能力。その変態的な戦闘シーンはぜひご自身の目でお確かめ下さい!!
きっと、忘れられない映像となることでしょう!!

しかし、ヒッツカラルドさんはずいぶんあっさり殺されてしまい、非常に残念(--;
アレだけ美味しいキャラをあんな形で殺すなんて勿体なさすぎです。
まあ、眩惑のセルバンテスなんて既に死んでて、回想シーンにしか出てこないんですが。

あと十傑衆は走り方にも注目です。
さすが悪の組織の大幹部ともなれば普通に駆けることすら恥なのでしょう
第一巻、アルベルトおじさまのすごいアングルの走り方や、第六巻、残月・樊瑞ペアの威厳に満ちた(笑)走り方は僕のツボでした。さすが今川マジック!

さらに十傑衆はとても仲が良いです。まぁ、マスク・ザ・レッドは例外ですが。
少なくとも、樊瑞・残月・十常寺・幽鬼・カワラザキ・セルバンテス・アルベルトあたりは横の繋がりが強いです。
樊瑞は、サニーを保護してあげてるし、アルベルトも信頼しているし、リーダーシップにも嫌味なところがありません。
セルバンテスさんも大作の回想シーンを見る限りそんなに悪い人には見えません。
十傑衆と九大天王、立場を逆にしても十分ヒーローになれそうな人たちです。


☆敵が強い

前にも書きましたが劇中では、国際警察機構エキスパートは常にBF団に押されっぱなしです。
BF団幹部である十傑衆が計5人もエキスパート側に攻め込んでいるのに対し、エキスパート側の幹部九大天王は二人しか臨戦体制が取れなかったのが問題かと思います。
BF団側は十傑衆に加えコ・エンシャクっていうこれまた不死身の怪人が常に出張ってましたしね。
ちなみに十傑衆&コ・エンシャクと九大天王でない普通のエキスパートを比べてみると、
十傑集一人に対し、二人がかりで「死中に活あり」というレベル…。
で、この普通のエキスパートってのが劇中でもっとも多く出てくる主人公格の人たちなんですよね。そりゃ負けるわな。

というわけで、十傑衆&コ・エンシャクだけでも十分強いのですが、九大天王なら十傑衆とほぼ同等の実力と思われるのでエキスパート側もなんとか勝負になります。んが、さらにBF団側には、諸葛亮孔明が参謀として加わっています
劇中を見る限りでは、孔明は策って言うより予言のレベルだと思います孔明も超人になってしまいました
ちなみに対する九大天王には、なんと韓信元帥がいたりします。
諸葛亮孔明はいわずと知れた「三国志」の策士。韓信元帥は「項羽と劉邦」の策士にして大将軍。
すごい戦力図です。。。

そしてさらにBF団の首領はバビル2世!(笑)
劇中ではビッグ・ファイアという名ですが、もちろん3つのしもべを使います!(劇中では3つの護衛団)
バビル2世はむかしちょろっと読んだだけですが、確か敵のヨミが可哀想になるくらい3つのしもべが強かった憶えがあります。なんともイヤなラスボスですねえ(^^;
ちなみに国際警察機構側のラスボスは「黄帝ライセ」
バビル2世のヨミのようです。やっぱりすごい図だなぁ。


☆まとめ

アニメ版のジャイアント・ロボは原作ジャイアント・ロボシリーズの最終話の一つ前に当たるそうです。
当然のことながら、この前後が気になって仕方ありません。
OVAのビデオが発売されたのが92年〜98年。
OVA終了から4年が経とうとしているのに、続編が作られる気配が一向にないのは寂しい限りです。
まあビデオ7巻出すために7年掛かってるんじゃ、いくら質が良くても元取れそうにないですよね。
しかし、何とか続編出て欲しいものです。ハイ。

ちなみに、番外編である銀鈴シリーズは「鉄腕GinRei」だけ見ましたが、パロディとしてかなりクオリティの高いものだったと思います。アルベルトおじさまの「わしの梅サワー!」が良かったです(^^
それと、僕はこの作品をマッド・アニメで知りました。正確には中学の頃読んでたアニメージュで知ってたんですが、最近マッド・アニメで映像を見てアツさに気づいたワケです。マッド・アニメは良いカンジでジャイアント・ロボの美味しいシーンを選りすぐってくれてるので、それを見ればきっとアニメを見たくなるでしょう。ヒッツカラルドさんとか、特に!


☆リンク


意外に知名度が低いらしく、なんかあんまりファンサイトがありませんでした。
とりあえず二つ。

GRワールド→元ネタを探せ!というページがあります。残念ながら第六巻までしか扱ってませんが、銀鈴シリーズについての記述があります。

我らのビッグファイアのために→詳細なキャラクター紹介とメカ紹介。組織分析など。

しかし、二つともアニメで知ることのできる以上の情報が・・・
いったいナニに書いてあるんだろう??


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