●『君主論』研究_第一章





『気前の良さと吝嗇について』
〔第一六章では第一五章で列記した良い性質と悪い性質のうち、「気前の良さと吝嗇」について言及している〕

結論:吝嗇(けち)の方が良い

・「気前の良さ」の問題点
1、自分の財産を注ぎ込んでしまう
2、金策のため、民衆を抑圧し、重税を課すことになる
3、2により臣民が君主を憎むか、もしくは1により貧しくなって侮られる
4、いざ改めようとしたら、たちまち吝嗇と呼ばれる

「気前が良い」君主は、少数のものに褒賞を与えるために、多くの者(民衆)から奪い取ることになる。逆に「吝嗇」な君主は、奪い取らないことで多くの者(民衆)に気前の良さを示し、小数のものに吝嗇を示すことになる。
『国民から搾取しないために、みずからを守り抜くために、貧困に堕して侮辱されないために、強欲になる破目に陥らないために、吝嗇と言う名が広まるのを気にしてはならない』


・「気前の良さ」の使い方

これから君主になろうとしている⇒「気前の良さ」は必要
既に君主である⇒「気前の良さ」は不要
自分のものや自分の臣民のものを配ってる⇒この「気前の良さ」は誤り
他人の所有物を配ってる⇒いかなる形の「気前の良さ」も惜しんではならない(※1)

※1
『軍隊を率いて進みながら略奪や強奪や徴発によって糧秣を調達していく、すなわち他人の所有物を分配するならば、この気前の良さは必要である』

第一六章のまとめ

結論:吝嗇(けち)の方が良い

・「気前の良さ」の使い方
これから君主になろうとしている⇒「気前の良さ」は必要
既に君主である⇒「気前の良さ」は不要
自分のものや自分の臣民のものを配ってる⇒この「気前の良さ」は誤り
他人の所有物を配ってる⇒いかなる形の「気前の良さ」も惜しんではならない

「気前の良い」君主は、実際は臣民から所有物を奪うことになるので、少数の者に褒美をやるために多くの者から搾取することになる。逆に「吝嗇」な君主は多くの者に「奪わない」という形で「気前の良さ」を示すことになる。
「気前の良さ」は、これから君主になろうという途上では必要だが、既に君主であるものが「気前の良い」君主である必要はない。また、自分の所有物を費やしてまで「気前の良い」君主である必要はなく、ただ獲得した他人の所有物を分配するときにだけ「気前の良さ」を発揮すれば良い。


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