●『君主論』研究_第二三章





『どのようにして追従者を逃れるべきか』
〔第二三章では側近からご機嫌伺いではなく、役に立つ助言を引き出すための方法について述べられている〕

・誰もが好きなときにご機嫌伺いではない本当の助言をするようでは君主は侮られる。それゆえ、思慮深い君主は『選ばれた賢者にのみ真実を告げる自由の機会を与える』。

これは封神演義に出てくる諌大夫(王の側近に侍って王の 言動に非があればすかさず諌言するのが務めの役人)を想起すれば理解が容易と思われる。封神演義の諌大夫は諌大夫なのにどうしようもない人だったけど。

・選ばれた賢者の使い方
1、自分が訊きたい事柄だけ言わせる
2、他のことを告げるのは許さない
3、最終的な決断は君主が自分で下す
4、自由に真実を話せば話すほど、いっそう彼らの助言が受け入れられることが彼らに分かるよう振舞う
5、選ばれた賢者といえど、助言には彼らの私利私欲が含まれていると考える

基本は自分が選んだ者にだけ、自分が訊きたい事柄だけを助言させる。助言を受けた後どうするかは自分で決める。そして、賢者以外の者の意見には耳を貸さず、あくまで決断を貫く。そうしなければ、追従者(おべっかもの)に惑わされたり、他の意見を聞くたびにコロコロ方針を変えて自分の評価を下落させることになる。
また、助言はあくまで自分が訊きたいときに訊くものであり、賢者達に「助言したい」と思わせてはならない。その代わりに、君主は幅広い質問者でなければならず、もし、真実を言おうとしていないようであれば、怒りさえ顕にしなければならない。


第二三章のまとめ

おべっかではない本当に役立つ助言を得て、活用するためには
1、選ばれた賢者だけから聞く。他の者の言には耳を貸さない
2、自分が訊きたい事柄だけを言わせる。他のことを告げるのは許さない
3、自分が訊きたい時にだけ言わせる。彼らから「助言したい」と思わせてはならない
4、おべっかを言ってるようであれば、怒ったりもしろ
5、助言者の助言には必ず自己の都合が含まれてるので、それを差し引け
6、助言を聞いた後は、最終的な判断は自分一人で行う
7、一度決断したら、他の意見に惑わされず、決断を貫く

マキャベリは最後に、「どんなに良き助言者達がいても、君主の思慮深さは助言者達のおかげではなく、あくまで最終的判断を下す君主のうちに思慮深さがある」といったことを言っているが、ハウトゥーとしては、あまり必要のない記述に思われる。上梓する相手であるメディチ家に対する配慮な気がする。つまり、「私のような良き助言者をあなたが雇っても、名声を得るのはメディチ家なんですから、だから私を雇って」って感じで。
私の読解ミス。どんな賢者であろうと、彼らからの助言は彼らの私利私欲が含まれていると考えるべきで、そこを差し引いて最終的な結論を下さねばならないから、「あくまで最終的判断を下す君主のうちに思慮深さがある」らしい。


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